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人からもし覗かれても 
恥ずかしくない誇れる心を持てるか
自分で自分を誇れる生き方ができるか

カシュミールの山のトレッキング

朝起きて 船のドアをあけると朝日を浴びた湖が光っている

ずらりと浮かぶボートハウスの前を ジュエリーやスナック屋の小舟が

揺れていて、船を漕いで売りにくる

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それは穏やかで新鮮な日々だった。

この町、シュリーナガル自体インドというより

中央アジアという雰囲気に近い。ここの人びとは青い目を持っている。

夜になると湖の夜風に吹かれながら

ギターを弾いたり テラスで本を読んだり

イタリーのクリスとイスラエリのロビンは

チェスをして私は横でそれを眺めたりして過ごした。

数日過ぎた後、ボートハウスのオーナーのビラルが提案してきた。

「トレッキングに行かないか?」と。

クリスとロビンは ビラルのルートの説明を聞きたちまち乗り気になった。

「へー トレッキング行くんだ」と思いながら横で本を読んでいた。

私は2日後ここをでようと思っていた。

ーが、なぜか私もいつの間にか行く事に話は進んでいた笑

「ちょっと待ってよ私ラジャスタンに行くんだよ、それにいくらなの?」

ビラルは私たちに相場よりずっと安い値段を提示してきた、

32歳にして子供3人を抱えるビラル、彼には仕事が必要だった。

そして湖の写真は息を飲む程美しくて

最終的に私も行く事に決めた。

というわけで今、クリス、ロビン、私、ビラルとその友達の

アシスタントをしてくれるインド人2人、そして馬使いの少年2人と共に

険しい山道を歩いていると言う訳だ。

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巨大な寺院を通り過ぎ、河原に出た。

石を積んで出来た家に 馬や羊を散歩させてる子供達

薪で火をおこし料理をし、色褪せた服を

着た女性が頭に壷を乗せ歩いてる。

それは自分の日本の生活を遠く感じさせる程

私にとって遠い世界の光景だった

出会った子供達は写真を何度もとってとせがんできた

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テントを張り、キャンプファイヤーをした

夜空は言うまでもなく空いっぱい星がちりばめられていた

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朝起きて また険しい山を歩く。 石だらけの坂を登る。

日光が強く汗が流れ 時折小さな雲がつくる日陰に感謝を感じる。

狭い道を歩いていると、羊飼いが200頭位連れて前から歩いてきた。

羊たちは急な勾配の道や、木の上にもすいすい登っていて驚いた。

私たちの横を大量の羊やヤギが通り過ぎていくのは

なんとも言えない体験だった

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山を登ると草原が広がっていて そこに写る雲の影が

風の速度で動いていくのを見て、その壮大さに 私の心は震えた

キャンプを張る場所について皆口論になったりもした笑

あそこは強風の場所だ、いやここがベストだとか。

ビラルはみんなの意見を辛抱強く一人一人聞いて まとめていた

2日後私は体調を壊し嘔吐が止まらなくなった。

みんなが私を心配している、迷惑かけまいと歩き出したが無理だった。

クリスとロビンは私の荷物全部運んでくれた。

インド人のアデルが私をドクターに連れて行くと言った。
こんな山の中に病院なんてあるのか? 

「あるよ」と言われ連れて行かれた場所は、なんと軍隊w

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銃を持った人達に囲まれながら診療され

薬を貰い、その後私は馬に乗って移動した。

体調不良で倒れて馬で運ばれるなんて人生でこれが最初で最後だと思った。

ビラルはお粥のようなものを私につくってくれ

ロビン石を持ってきた 「この石は病気に効くんだよ」

薬ではなく石をくれるのが 完全ベジタリアンでエコロジストの彼らしい

「僕は石の力を信じているんだ」

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私は人見知りが時折、激しい。

人とずっと一緒にいるのが苦手なんだ

今の年齢になってやっと言えるけど

昔から相手が自分の事を嫌いか 好いているかとか、わかる。

痛みを感じている人の痛みを、根本的な原因から自分の痛みのように疑似体験できる

これはインドでは役立った 何か起きる前に相手が

どのような思考を持ってるか流れてきて、わかるからだ

人間は天使にも悪魔にもなれる生き物だとよく感じる

「良い」とか「悪い」とかそういうことではなく

光に繋がるときも闇に落ちる時も人生にはあり、そして

どちらも魂の成長に必要なものなんだと。

「平凡な人生」という言葉があるけど 本当の意味では

「平凡」なんてないと思う。

皆語らないだけで過ぎていく毎日の裏で

全ての人は様々な出来事や、感情と出会い

幸せな日もあれば 必死に孤独に戦う経験を

心の奥に秘めている。

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人の生き様は何気ない会話や、ふとした表情
その人が醸し出すオーラから私の中に「伝わる」

優しい感情に共鳴して幸せなオーラに包まれる時もあれば
裏の感情を根元から感じて 倒れそうになる時もある。
こんな人間に集団生活なんて向くわけがない。
学校なんて私みたいな人間からすれば 拷問に近い時もあった。
中学三年の終わりはほとんど学校もいかなかった。
「みんなこうだからあなたも同じくしなさい」みたいな事に
私は強烈に怒りや圧迫を感じ爆発しそうになる。
自分の頭で考えて生きろよと自分の反骨精神を抑えきれないんだ。
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お金であり、地位だったり、学歴。
私たちは競い合ったりしてるけど
こういった事を手に入れるまでに学んで 成長した精神のほうが
実際手にしたものより ずっとずっと大きいものだと思う。
私たちの魂が学ぶために物質が この世界で存在してるんだと思う。
今の社会がどうであれ、私が思う素敵な人とは
相手の心を感じた時に、光っている人達なんだ。
インドにいると同じ感覚を持っている人間にあったりする。
そうすると、言葉で言えば目と目を合わせた時に
「お互いのエナジーの1部を交換する感覚」で信頼関係を結べる。 
その後は必ずおもしろい事が待っている。
これはスピリチュアルでもなく全ての人間が持っていて
でも使い方を忘れられた 人間の自然な能力なんだと思う。
私は世界を旅しながら 自分自身も含めたくさんの人間の内側と対面してきた。
そこには計り知れない学びがあった。 
私の旅する理由の一つにこれがある。
「まったく違う環境や文化で生きてきた人間同士の内側を理解しあう」 
これを突き詰めていけば
将来私たちが抱える大きな問題を
乗り越える可能性を感じるんだ
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ただたくさんいろんな感情に出会うと自分の内側が乱立する。
私は私を整理しなければならなくなる。
これを怠ると私の心は一気に精神不安定になる。

静かな音楽を1人聞き続けたり、

自然豊かな場所で1人自分の魂と向き合い

あなたが放った言葉の奥の意味を感じながら

こころを水で洗い流す時間が必要なんだ。

つまり完全な静寂が必要な人間。

それはこのトレッキング中も例外ではなかった。

そんな私にビラルは心配した

「つまらないか?居心地が悪いか?」ーと。

彼はこのパーティのリーダーで、私たち全員に
楽しんで貰いたい気持ちがよく伝わってきた。

わたしは出来る限り自分について説明した
私はわたしについてこんなに話すのは初めてだった

彼はこんな複雑な人間を理解できる器の人だった

それからは みんながキャンプファイヤーを囲んで

盛り上がっている間、1人離れて夜空を眺め続ける私を理解した

しばらくして彼等の場所に戻ると自然に受入れてくれた

そして今 具合悪くて弱っている

こんな変わった人間を嫌な顔ひとつせず助けてくれる、

優しい人達と出会えた事に本当に感謝した

だってずっとなんで私はこうなんだろうと
思って生きてきたから。
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山を歩いた

深い谷を見た

星空を見上げた

山の頂上に湖があった

炎を皆で囲んだ

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そんなシンプルなことが

こんなにも胸を打つ経験になるなんて

最後の帰り道、歩きながらビラルは私にムスリムネームをくれた

名前はズニ。 意味は「月」。

そして私を妹だと言ってくれた。

5日ぶりのボートハウス。

約1ヶ月位ぶりにここに戻った気がした。

そのくらい深い経験ができた。

素敵な場所、カシュミール。

私はこの土地がだいすきになった。

湖を船から見ながら離れがたく感じた。

でもそういうわけにいかなかった

India Kanako

ラダック、レーからバススタンドで毎日14:00から
シュリーナガル行きのガバメントバスあり。1060ルピー。
バスはぼろく、夜は真っ暗で女性には精神的にハードル高め。
朝5時頃着くため辺りは暗い。ホテルは予約していったほうが無難。